はじめに
FL Studio 20でMac対応になったようなので、最近Macbookにインストールしていろいろ弄っています。僕はこれまでさまざまなDAWを使ってきましたが(Sonar, Logic, DP, Ableton Live, Cubase, Pro Tools, Reaper)、FL Studioは中でも特段に異質なDAW!ここでは自分なりに感じた使用感を他のDAWと比較しながらもまとめていきたいと思います。なおどちらのDAWが優れているかということではなく,あくまで個人的に比較した所感です。
UI, デザイン
どちらが初心者向けか
複数のDAWを使う利点について述べてきました。とはいっても初めてDAWを購入する場合はどちらを選べばいいのか、悩む方も多いでしょう。特にエレクトロ系の音楽制作に興味のある方はFL StudioかAbleton Live、どちらかで迷っている人も多いはず(もしくはBitwig Studio)。僕はAbleton LiveとFL Studioをプロジェクトごとに切り替えて使っているので、どちらのDAWがおすすめというのはありませんが、それぞれの利点や違いなど簡単に比べたいと思います。
価格
価格面に関しては、両方とも廉価版から機能の豊富なパッケージまでバリエーションがあります。
FL Studio
FL StudioにはFruity Edition, Producer Edition, Signature, All Plugins Bundleの4種類のバージョンがあります。
FL Studioの機能比較
FL Studioでオススメなのは最低でもオーディオが取り扱えるProducer Editionと,ベースとなるProducer Editionにいくつかのプラグインが追加されているSignature Editionです。
FL STUDIO Producer Edition FL STUDIO Signature Edition
Signature Editionは7種類のプラグイン(NewTone、DirectWave Full、Harmless、Fruity Video Player 2、Hardcore、Pitcher、Gross Beat)がProducer Editionに加えられます。特にHarmlessは僕のお気に入りのシンセで,これ単体で$79(約8000円)ほどするので,HarmlessのためにSignatureを手に入れるというのもありです。Signatureを購入してさらにプラグインが欲しくなったら,後でAll PluginsBundleにアップデートすることも可能です。
またSignature Editionには,解説本が付属している製品もあります。
FL STUDIO Signature Edition 解説本バンドル
FL Studioは一度製品を購入すると,生涯アップデートが無料でできるというのも注目すべき点ですね。
Ableton Live
Ableton LiveにはIntro, Standard, Suiteの3種類があります。
Ableton Liveの機能比較
Introはトラック数などに制限があり,購入するとしたら最低でもStandardをおすすめします。Max for Live(後ほど説明)などAbleton Liveの機能を最大限に生かしたいなら,Suiteの一択です。
Ableton Live 10 Standard Ableton Live 10 Suite
AbletonはFL Studioに比べるとやや割高となりますが,教員や学生の方でしたらアカデミック版が用意されています。
Ableton Live 10 Standard アカデミック版 Ableton Live 10 Suite アカデミック版
仕事の速さ
カスタマイズ性
FL StudioとAbletonLiveは音楽を作るツールとして出来ることは大体同じものの、その出自と方向性は大分異なるものがあります。Ableton Liveという名前からもご察しの通り、もともとDJなどのライブパフォーマンスにも使えるDAWとして誕生しました。対してFL Studioは往年のドラムマシーンの仕組みをベースとしてつくられ、あくまでもスタジオで使う楽器という側面が大きいように感じます。Ableton Liveはリアルタイムで演奏可能なオーディオベースのDAW, FL Studioはスタジオでじっくりと打ち込むMIDIベースのDAWという、そのルーツは今も根付いているように感じます。実際にFL Studioでトラックを制作して、Ableton Liveを使ってパフォーマンスするというアーティストもたくさんいます。もちろん、Ableton Liveで制作してそのまま同じツールでパフォーマンスするというのも全然あり。
Abletonがパフォーマンスにも使えるエフェクトが充実しているのに対して、FL Studioにはプリセットでも良質なサウンドのシンセサイザーが多く搭載されています。
昨今はパフォーマンス(演奏)と作曲の垣根が曖昧になってきており、MIDIもオーディオもDAW間で機能的には大差がなくなっていますが、MIDIとオーディオどちらをベースとした作曲が多いのかという点もDAWを選択する決め手にはなると思います。例えば最近流行りのユーロラックなどを使いたい場合、Abletonは録音してタイムストレッチをしたりするのが簡単な上、CV Tools(Ableton Suiteのみ)というものを使えば、ユーロラックとの親和性も高まります。また,Ableton Liveの上位版ではMax for Liveというプログラミングを通して独自のプラグインやオンライン上に数多くあるMax for Live デバイスをダウンロードして使うこともできます。対してFL Studioはカスタマイズ性という面ではAbletonに劣るものの,MIDIの編集機能に関してはAbleton Liveよりも充実しているところがあります。他にMax for Liveのように独自なシンセやサウンドを作りたいというう場合,FL StudioにはFL FLowstone(旧FL SynthMaker)というものがあります。FL Studio12からは最初から付属していないので,個別にインストールする必要があるようです。